わたし祈ってます

昭和50年(1974年)発売
作詞:五十嵐悟 作曲:五十嵐悟 
歌:敏いとうとハッピー&ブルー

僕には、なぜかふいに天から歌が降りてくる、とはこれまでにも書いていますが、この歌はまさに天から降ってきた歌です。“わたしいのっています~”と頭に浮かんだのですが、とても心に響くメロディーと歌詞です。

このコラムを書くにあたりいろいろと調べたのですが、驚いたことがあります。それはこの「わたし祈っています」という歌がヒットする数年前に、同じメロディーと歌詞で「幸せになってね」というタイトルでほかのグループがリリースしていたことでした。繰り返しますが、メロディーも歌詞も全く同じで題名だけを変えて歌っているのでした。

それでヒットしたのはボーカルの森本英世さんの貢献が大きいのでしょうが、それを見抜いたリーダーの敏いとうさんの眼力が素晴らしかったことも間違いありません。そうとしかいいようがないようなヒットの背景です。後付けになりますが、やはり「幸せになってね」よりは「わたし祈ってます」のほうが、いわゆるゴロがいいように感じます。

歌詞は1番から3番まであるのですが、その最後はすべて

♪幸せんになってね わたし祈ってます

となっています。つまり、最後の歌詞のどちらをタイトルにするかで歌の人生が変わったのですから、いかに題名が大切かがわかります。歌に限らないのですが、題名・タイトルは読む人が最初に触れる入り口です。ですからとても重要で、少しでもインパクトを与え興味を持たれるように工夫する必要があります。たったの数文字で歌の核心を伝え、なおかつ心に響く言葉を紡ぎださなければいけません。作詞家にコピーライターが多い理由がなんとなくわかる気がします。

先にも書きましたが、ヒットした理由の一つにボーカルの森本さんの声の魅力も大きいでしょう。僕的な勝手な意見ですが、しかもかなり失礼なことを書きますが、森本さんの顔は日本で一番「スケベったらしい」顔と思っていました。もちろん誉め言葉で言っているのですが、女性の母性本能をくすぐるような歌声です。それに見事にマッチした歌詞となっていますが、リーダーの敏さんはそこを見抜いたのではないでしょうか。

歌詞は夜の世界に生きる女性が、出世していく男性を見送る歌詞で、まさに母性本能の塊のような女性の心情を綴っています。おそらく多くの男性がそこに惚れたのだと思います。

♪強く生きなきゃだめなの
♪わたしのことなど心配しないで

とか

♪あなたはちっとも悪くはないのよ
♪女のわたしがわがままでした

とか

♪あなたはわたしより
♪もっといい人見つけて

とまあ、男性にとってとっても都合のよい女性ですが、考えようによっては結婚詐欺師に騙された女性ともいえそうです。いえいえ、結婚詐欺師に騙される女性とこの歌詞に出てくる女性で最も違うのは、自分が身を引き男性が幸せになることを願っていることです。やっぱり、男性の理想の女性像と言えそうです。

ですが、今の時代ではちょっと受け入れがたいといいますか、批判と浴びそうなので「男性」を「昭和の男性」とさせていただきます。そうです。昭和の男性、今のオヤジですね、そのオヤジ好みの女性がこの歌詞の女性像なのです。

今の若い人にわっかるかなー。

そんじゃ、また。

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