1982年1月にリリースされた松田聖子の8枚目のシングル「赤いスイートピー」の裏面、つまりB面です。B面にしておくのはもったいないくらい心に染みこむ歌ですね。
心に染みこむ最大の理由は作詞が松本隆さんで作曲がユーミンこと松任谷由実さんだからです。当時は結婚前ですので荒井由美さんだったように思いますが、「呉田軽穂」というペンネームを使ったところにユーミンさんの心意気が出ています。
ウイキペディアによりますと、松本隆さんが「ライバルに曲を提供してみないか」と口説いたそうですが、同時期にヒットチャートを競っていたのですから、確かにライバル関係ということになります。それでも要望を受け入れたのは作曲家としての矜持かもしれません。「ペンネームでなら」という条件つきで作曲を引き受けたのは、自分の作曲家としての実力を試したかったのかもしれません。
実は、僕がこの歌を知ったのはラーメン店を営んでいたときに有線放送でしょっちゅう流れていたからです。当時は一日のほとんどをお店で過ごしていましたので、僕が音楽に触れることができるのは、この有線しかありませんでした。ですから、ヒットチャートも有線で知るようになっていました。
ですが、有線というのは、その時期のヒットチャートというよりも息の長い歌が流れることが多かったような気がします。人間なんて自分の生活範囲などたかがしれていますから、自分の体験以外に情報に接するにはメディアに頼るしか術はありません。そのメディアが僕にとっては有線だったわけです。
ちょっと思い出すだけでも、ヒットした当時は知らなかったけれど、のちに有線で知った曲には、以前ここで紹介したことがあります水越恵子さんの「too far away」や長渕さんの「素顔」などがあります。有線で流れてきて、あまりに感動したのでわざわざ題名を問い合わせたこともありましたっけ。。。
それはともかく、「制服」も3月に入りますと必ずかかっていました。アップテンポで歌詞が卒業ですから、すぐに心に入り込んできました。
♪テスト前にノートを
♪貸してくれと言われて
♪ぬけがけだとみんなに
♪責められた日もあるわ
♪ただのクラスメイトなのに
いやぁ、青春です。こういう歌詞を書かせたら本当に松本さんは天下一品です。僕が言うまでもありませんが…。この歌詞を聴いて僕が思い出したのは浜田省吾さんの「あれから二人」という歌なのですが、その歌には
♪いつも 放課後 君が教科書をかかえて
♪グランドを歩く姿 遠くから見送ってた
という歌詞があるのですが、この歌詞が頭に浮かびました。浜田さんはメロディが魅力的ですが、実は僕は歌詞もメロディに負けないくらい天才だと思っています。あ、今回は浜田さんの回ではありませんでした。
ちなみに、ユーミンさんがペンネームにした「呉田軽穂」ですが、これはハリウッド女優の「グレタ・ガルボ」さんからとったそうです。僕はユーミンさんと同年代なのですが、僕の青春時代は、ちょうど米国の50年代60年代の映画がリバイバルという感じで流行っていました。僕も授業が終わったあとに名画座で「エデンの東」とか「風と共に去りぬ」とか「アメリカングラフィティ」などを観たおぼえがあります。
当時、僕が「世の中で一番きれいな人」は、イングリッド・バーグマンさんだと思っていたのですが、スウェーデン出身の、「切なさ」と「憂い」を帯びた表情で右に出るものはいないと強く強く思っていたものです。ユーミンさんがペンネームにした「グレタ・ガルボ」さんはバーグマンさんよりもさらに一世代前の絶世に美人だったと思いますが、僕からしますとちょっと「キツイ」人というイメージがありました。コウマンチキ系の美人が好きという人にはもってこいの美人です。
それはともかく、聖子さんもなんと60才を越えているそうですが、まだまだ美貌を失っていないところは、さすが全身全霊が芸能人という感じです。
それではまた次回。