夢をあきらめないで

岡村孝子:作詞、作曲、歌唱
5枚目のシングル

岡村孝子さんの楽曲ですが、なにかのときに心にふいに浮かんでくる歌詞とメロディーです。岡村さんは「あみん」という二人組でデビューしたのですが、岡村さんとしては「あみん」のデビュー曲「待つわ」のほうが有名かもしれません。実は「待つわ」にするか「夢をあきらめないで」にするか、迷いました。どちらも岡村さんの代表曲ですが、人生の指針になるという点でこちらの歌にしました。

どちらもも岡村さん作詞作曲の歌ですが、「待つわ」は片思いの切ない歌詞です。ユーミンさんにも同じような歌で「まちぶせ」という名曲がありますが、元々は三木聖子さんというアイドル系のかわいい女性が歌いましたが、小ヒットくらいでした。その5年後くらいに石川ひとみさんが歌って大ヒットしました。“かわいさ”でいったら三木さんのほうが上だと僕は思っていましたが、歌の魅力を伝えていたのは石川さんのほうだったように思います。

話を岡村さんに戻しますと、「待つわ」にしなかったのは、一つ間違えますとストーカーになりそうな歌詞だからです。だって

♪私待つわ いつまでも待つわ
♪たとえあなたが ふり向いてくれなくても

となっているのですが、ちょっと怖いですよね。しかも、どこまで行ってもこの歌詞の方向性は変わらず

♪いつまでも待つわ
♪他の誰かに あなたがふられる日まで

よく言えば一途といえなくもありませんが、男性側からしますとやはり恐怖です。ほかの女性と結婚どころかつき合うことさえできないような気持にさせられるからです。「待つわ」の出だしは

♪かわいいふりしてあの子 わりとやるもんだねと
♪言われ続けてあのころ

なのですが、こういう歌詞を思いつくところをみますと、岡村さんは人の心の中の醜い部分を理解できる性質の持ち主のようです。そうでなければ、このようなちょっと意地悪な発想は思いつかないでしょう。決して批判的な意図で書いているのではありません。やはり歌詞を書くくらいの人は人の心のヒダを掬い取るだけの感性をもっていなければいけないはずです。

同じ人が「夢をあきらめないで」と歌っているところがすごいです。しかし、よくよく考えると「待つわ」と夢をあきらないで」には共通点があるように思います。それは「執着心」です。恐い言葉でいうなら粘着心ともいえそうですが、物事を成就するためにはそれくらいの心構えがないとできないように思います。

先ほど、youtubeでボクシングの世界チャンピオンのサイトを観ていたのですが、拳一つで世界を制するのですから人よりも練習に粘着する気持ちが必要であるように思いました。練習はとてもキツイものですので、そこいらのどこにでもある執着心くらいでは世界チャンピオンという目標を果たすことなどできません。腕っぷしに自信がある人の中で、さらに選ばれた人だけで到着できる世界チャンピオンです。粘着心は最低必須条件でしょう。

おそらくそれはだれの人生にもあてはまるはずです。だからこそ「夢をあきらめないで」という歌詞が人々の心を打つのです。しかし、一般の人はなかなか「夢をあきらない」ような気持ちになるのは容易ではありません。だって、辛いしキツイじゃないですから、そうした弱い自分を鼓舞するために人気がある理由ではないでしょうか。

僕はもうオジイサンですが、夢を持ち続けて生きていきたいと思います。

じゃ、また。

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