大阪しぐれ

1980年2月1日に発売された都はるみの80枚目のシングル。
作詞:吉岡治/作曲:市川昭介/編曲:斉藤恒夫

昨年の今ごろに同じ都はるみさんの「浪花恋しぐれ」を紹介しているのですが、“はるみ”さんは昭和時代の女性の気持ちを歌い上げた楽曲がいくつもあります。しかし、今の時代に照らして考えてみますと、実際は「昭和時代の女性の気持ち」ではなく、「男性が思い描いているというか、願っている女性像」といったほうが正解なのかもしれません。

昭和時代は「女性は男性に尽くすのが本来のあり方」という男性側の思い込みが社会の通念になっていたように思います。そのような思い込みが歌詞になりヒットしたのは、やはり世の中が男性社会だったからにほかなりません。しかし、実際は当時でも本当の女性の気持ちは、「女性は、男性に尽くすだけが存在価値ではない」と思っている人も多分にいたのではないでしょうか。

かく言う僕も典型的な昭和男ですので、男性を立ててくれる女性に憧れは持っていますが、僕の現実は正反対です。結婚当初はか弱き女性だった妻も40年経ちますと、恐妻になっています。その妻が晩ご飯の準備をしているときに、僕はすぐ隣に置いてあるパソコンを見ていることが多いのですが、心優しい僕は妻のご飯づくりがはかどるようにと音楽をかけてあげます。

もちろん、音楽はこれみよがしにかけるのではなく、さりげなく妻が好きそうな選曲をして妻の耳に届くくらいの音量に設定しています。このときに大切なのは「さりげなく」なのですが、そうすることで妻の好きな歌を知ることができます。

それはなぜか!?

答えは、妻は好きな歌がかかると歌に合わせて一緒に口ずさむからです。そして、最近妻が歌に合わせて口ずさんでいるのが「都はるみメドレー」です。とりわけ今回紹介している「大阪しぐれ」のときは一際大きな声で、首を振りながら歌っています。

実は、妻は「巻き舌」がとても上手なのですが、“はるみ”さんも「大阪しぐれ」では数か所のところで「巻き舌」になっています。僕の想像では、妻はそれが心地よく、自然に口ずさむようになったのだろうと思っています。ちなみに、僕は舌を巻くことができません。…妻には舌を巻いていますが…、なんちゃって。…これも昭和のギャグでした。
(~_~;)

そんなことより歌詞です。

僕の父は2年前に他界したのですが、その父は生前

♪ひとつや ふたつじゃないの
♪ふるきずは

の歌詞が「とってもいいねぇ」と話していました。人間、生きていますとやはりいろいろと辛い思いをしたり、反対に他人を傷つけたりするものです。なので、「ふるきず」は誰しもたくさん持っているものですが、父は自らのそうした過去を思い出して話していたのだろうと思います。

♪こんなわたしで いいならあげる
♪なにかも
♪抱いてください ああ大阪しぐれ

♪つくし足りない わたしが悪い

ああぁぁ、昭和よ~、行きにけり。。。

それではまた。

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