1990年3月21日発売
作詞・作曲:BEGIN
BEGINの1枚目のシングル
僕は1986年の8月からラーメン店を営んでいたのですが、ラーメン店を営んでいますと、ほとんどお店にいますのでテレビを見ることはありません。そんな僕ですが、BEGINさんがテレビのオーディション番組で優勝する場面をリアルタイムで見ています。僕が見ることができていたということは、その番組が夜遅くに放送されていたことだと思います。
そのオーディション番組は、TBS系オーディション番組『三宅裕司のいかすバンド天国』という番組ですが、優勝かなにかして3人が飛びあがって喜んでいる映像が記憶に残っています。ただし、そのときは単にその場面を見たというだけで、それ以上のことはなく、この「恋しくて」を本当に好きになったのはもっとあとです。どうして、そのときに好きにならなかったのか不思議です。
この歌はメロディーが素敵ですが、それを感じさせるのもボーカルの比嘉さんの声質があってこそです。初めて聴いたときは、まるで「女性の声」かと思うほど繊細に感じました。歌のうまい人に共通しているのですが、歌のうまい人は、それほど力まずに声量を出せています。比嘉さんも同じで軽い歌い方でありながらきれいな歌声を出していることで、この歌の魅力を際立たせているように思います。
♪恋しくて泣きだした
♪日々などもう 忘れたの
♪せつなくて 悲しくて
♪恋しくて 泣きたくなる
「せつなさ」が最高に伝わってくる歌ですよね。実は、僕がBEGINさんで一番印象に残っているのは、デビュー曲がヒットした当時ではなく、その十年後あたりでしょうか。「まったく歌が売れなくなって東京を離れて大阪に行った」という話です。そうした話ができるのは、さらにもっとあとである程度音楽業界で地位を確立していた時期だと思いますが、なにかのインタビュー記事で、低迷していた時期を振り返って、「大阪に行ったから、今の僕たちがある」と語っていました。
現在、BEGINさんは「涙そうそう」などヒット曲が世に知れ渡っており、大御所の地位を確立していると言ってもいいほどです。実際、沖縄出身の夏川みりさんは、BEGINさん同様、最初にヒットを飛ばしたあと伸び悩み地元に帰ったあと、再デビューする際はBEGINさんに相談したそうです。
たぶん、BEGINさん3人の人柄がいいからだと思いますが、そうした関係を見ていますと、人間、最後にものをいうのは人間性だと思わせるBEGINさんたちです。
それでは、バイナラ。