1976年3月にCBSソニーよりリリース
作詞:千家和也 作曲:三木たかし
歌:山口百恵の12枚目のシングル
この頃、山口百恵さんは「赤いシリーズ」というTBSドラマで主演を務めていました。僕もそのシリーズを知ってはいましたし、記憶もあるのですが、確たるものではなく、うっすらとした感じです。
ただ一つ強く覚えているのは、明星という若者向けの雑誌の付録についていた「ヤングソング」という歌集に記載されていた「愛に走って」のページです。理由はわかりませんが、百恵さんが小走りしている写真を背景にこの「愛に走って」の楽譜が載っていました。
先週、今週と作詞家として千家さんが登場してくるのですが、この時代の作詞家としては阿久悠さんがダントツでヒットや企画を連発しています。ですが、こうやって見てきますと、千家さんも結構ヒット曲があることに気がつきました。でも、顔を知らないのですよねぇ。
というわけで、ネットで検索したのですが、やはり初めて見るお顔でした。しかし、プロフィールを読んで知ったのですが、「なかにし礼に師事、その後、作詞家としてデビュー。 1972年、「終着駅」が第14回日本レコード大賞作詞賞を受賞」(ウィキペディアより引用)となっていました。早稲田大学卒となっていますが、当時は高学歴の人がマスコミとかメディア業界に入っていくパターンは結構多かった印象があります。
実は、「心に残った歌」のコーナーの第一回目に選んだのは、麻丘めぐみさんの「芽生え」という歌なのですが、その作詞が千家さんでした。ほかにもいろいろヒット曲があるのですが、乙女チックといいますか、アニメ風といいますか、若い女の子の心情を歌った歌詞が多いのが特徴です。当時の千家さんの年齢は30歳前後と思いますが、そうした年齢で若い女の子の漫画チックな心情を歌詞にできていたことがすごいことで、素晴らしい才能です。
♪パジャマのままで走って来たの
この歌の出だしなのですが、この出だしを聞いて僕が真っ先に思い浮かぶのは「フランス語」です。口をすぼめて唇をあまり動かさずにこの歌詞を歌ってみてください。「フランス語ふう」になりますから。
実際、僕は幾人かにこういう歌い方で歌って「何語だ?」と尋ねたところ、100%の確率でみなさん「フランス語」と正解を答えていました。いかにこの部分が「フランス語」であるかを物語っています。
♪にぎりこぶしに力をこめて
♪ただふるえてる
この歌詞もいいですねぇ。実は一昨日「あんのこと」という河合優実さん主演の映画を観たのですが、河合さん演じる主人公・香川杏さんはにぎこぶしに力を入れていかないと生きていけない境遇に生きていました。昨日の今日ですので、ついこの歌詞を聞いて「あんのこと」を思い出した次第です。
弱い立場にいる人って「ただふるえてる」しかできないですよね。こういう歌詞を書ける千家さんも素晴らしいです。
それでは、また。