君は風

佐々木幸男 作詞作曲歌
1977年6月5日発売

僕が大学生時代に最も好きだった歌です。FMから流れてきた「気だるそうな、しゃがれた声」に一気に惹き込まれました。当時はヤマハポピュラーソングコンテスト通称「ヤマハポプコン」という素人がプロになるためのと登竜門があったのですが、その11回大会で優秀曲賞を受賞してプロになった方です。

 

正直なところ、大ヒットとはいかなかったですが、僕からしますと、そこがまた好きなところです。実際、大学生時代に最も親しくしていた先輩からは「う~ん、悪い歌とは思わないけど、そこまでいい歌とも思えないなぁ」などと言われてしまいました。

 

この欄でいつも書いていますが、「僕はがとっても好きな歌は、大ヒットしない」というジンクスはこの歌がはじまりかもしれません。それくらい好きな歌でした。デビューアルバム「ほーぼー」は全部好きな歌なのですが、その中でも9曲目の入っている「うすずみ色の空へため息を」は人生の中でベスト5に入るほど好きな歌です。冒頭で「君は風」を「最も好き」と書きましたが、実はこの「うすずみ色の空へため息を」のほうが好きなのです。ですので「最も」の二乗ということにします。

 

♪なんだか妙に みじめな気持ち
♪行きかう人は 笑いさざめき
♪僕はうなだれる ただそれだけ

♪こんなに落ち込むのは どうしたのだろう
♪夏から秋への 移りあめのせいか

♪閉め切った部屋の 窓を開け
♪ばかげた気ふさぎは 流しだそう

 

勉強漬けの毎日を終えられる身分になり、大学生という自由で気ままな生活に入るようになった僕でしたが、実は打ち込むものが見つからず、悶々としていました。僕はスポーツが好きでしたので、高校時代はバレーに明け暮れていることで満足感、充実感を感じていましたが、目標を失った生活になんとなく気だるさを感じていました。

 

そうした気分にピッタリの歌が「うすずみ色の空へため息を」でした。世の中に知られていたのは「君は風」でしたので、今回の紹介する曲としても「君は風」を取り上げましたが、本当は「うすずみ色の空へため息を」としたかったところです。ですが、アルバムの中の一曲ではやはり今一つ説得力に欠けるかと思い、「君は風」としました。

 

もちろん「君は風」もいい歌です。シングルで発売するにはインパクトが必要ですが、「君は風」には「うすずみ色の空へため息を」にはないインパクトがあります。そういえば、浜田省吾さんがデビューするときも同じようなエピソードがありました。浜田さんには「生まれたところを遠く離れて」という名曲があるのですが、この歌も「売れそうもない」と評価されたそうです。もちろん、僕からしますと大好きな歌ですが、大ヒットとは縁遠そうな歌でした。

 

それはともかく、実はこの歌をずっとYouTbeで探していたのですが、長い間見つけることができませんでした。しかし、今回このコラムで取り上げるために久しぶりに調べましたところ、なんとアップされていました。アップ日が「2021.07.04」となっていますので、ついこの間ということになります。それで視聴回数は「74回」となっていました。僕のほかにもこの歌を好きな人がいたんだなぁ、と思うとうれしい気持ちになりました。

 

それでは、また。

 

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