ファーストアルバム「卒業写真」(1975年2月5日発売)の10曲目
作詞・作曲:荒井由実
僕が学生時代に好きだった歌ですが、ハイファイセットさんは「卒業写真」も紹介したことがあります。どちらにも共通することですが、ユーミンさんには全く持って申し訳ないのですが、どちらもユーミンさんが歌うよりも山本さんの声のほうがピッタリな歌です。
ですが、いくら山本さんの歌声が素晴らしいと言っても、この歌を作っているのは天下のユーミンさんです。ユーミンさんは失恋の歌を書かせたら天下一品と思っていますが、人の心のヒダを掬うのが本当に素晴らしいです。天才とはユーミンさんのためにあるのでしょう。
そうは言っても、この歌の魅力を余すことなく表現できるのは山本潤子さんです。もう活動はしていないようですが、あの素晴らしい澄んだ歌声のまま活動に終止符を打つのは悪いことではないと思っています。実際、ネットで終わりの頃の映像を見ますと、歌声に衰えを感じ、少し寂しくなりました。
この歌はメロディーも素敵ですが、なんと言っても歌詞が心に染み入ります。
♪あなたを思い出す
♪この店に来るたび
小説の一篇を読んでいるような気持ちになりますが、情景が目に浮かんできますので勝手にMVを見ているようでもあります。
僕は好きな歌は歌詞よりもメロディーが記憶に残ることが多いのですが、実は最初はこの歌もメロディーが先に記憶に刻み込まれていました。つまり、歌詞はあまり頭に入っていなかったのですが、それでも口ずさみたいときは適当な歌詞を入れて歌っています。
この歌も僕はずっと違う歌詞を当てはめて歌っていたのですが、その部分がここです。
♪紙ナプキンには
♪インクがにじむから
が正しい歌詞なのですが、僕はずっと長い間、
♪ヤマアラシには
♪ピンクが似合うから
と勝手に歌詞を作って歌っていました。しかし、当然ですが歌詞の辻褄がありません。合っているのは文字数だけですが、それでもずっと気にせず歌っていました。ところがある日ふと、たまたま歌詞をきちんと聴く機会があり、初めて「紙ナプキンには インクがにじむから」とわかったのですが、そのときの感動と言ったら、言葉では言い表せないほどの驚きでした。
僕の青春時代は、この歌詞に出てくるお店にわざわざ行く人もいたんですよ。いわゆるおしゃれな人ですが、僕はおしゃではなかったので、行ったことはありません。
それでは、また。