関白宣言

さだまさし
1979年7月10日に発表したシングル

今の若い人で、いったいどれだけの人がこの歌を、そして“さだ”さんさんを知っているのでしょう。“さだ”さんはNHKでラジオDJのような番組を持っていましたので(今の持っているのかは不明です)ご存じの方もいるかもしれません。それはともかく、“さだ”さんは1970年代に大活躍したシンガーソングライターです。

あ、「シンガーソングライター」という言葉自体がもう死語ですね。

それはともかく、“さだ”さんはまるで少女漫画の世界を描いたかのような歌をヒットさせる名人でした。以前、当欄で“さだ”さんの「異邦人」という歌を紹介したことがありますが、“さだ”さんはドラマ的な歌をつくる名人でもありますが、全く異なったほのぼのとする歌を書く名人でもありました。

この歌もそうですが、「雨やどり」などは本当に漫画のストーリーを思わせる歌詞になっています。当時、松山千春さんが歌番組内で「さださん」の歌を「コミックソング」と命名して爆笑を誘っていましたが、それ以降「コミックソング」という言い方が定着したように思います。

それはともかく「関白宣言」の歌詞です。出だしはこうです。

♪おまえを嫁にもらう前に言っておきたい事がある

♪俺より先に寝てはいけない
♪俺より後に起きてもいけない」

こんな暴君がいるでしょうか。関白亭主にふさわしい宣言です。そのうえ

♪めしは上手くつくれ

とか

♪姑や小姑かしこくこなせ

などと勝手なことを言っています。これを関白亭主といわずなんといいましょう。

当時、社会的にも物議を醸し、批判の嵐が殺到しました。ですが、僕は思っていました。“さだ”さんの真意はそこにはないんだぞ。だって、暴君的な指令を出しながら、そのあとにこうっているんだ。

♪できる範囲で構わないから

とか

♪幸せは二人で育てるものではないはず
♪どちらかが苦労して つくろうものではないはず

これがどうして暴君の歌なのでしょう。相手を思いやっているようすがヒシヒシと伝わってくるのではあ~りませんか。

そして歌詞の終盤では、

♪俺より先に死んではいけない

♪お前のお陰でいい人生だったと
♪俺が言うから必ず言うから

これほど嫁を愛している旦那さんがいるでしょうか(へへへ…、あえて「妻」ではなく「嫁」として、「夫」ではなく「旦那」としました)。なのに、なのに、当時の女性陣たちは「この歌は男尊女卑とか女性蔑視の歌」などと宣っていたのであります。

こうした風潮を見聞きしていて、僕は思いました。「な~んだ、世の中の人たちって表面的なことしから理解できないんだなぁ」って…。

それはともかく、この歌ほど夫婦の愛を歌った歌はないことをここに宣言いたします。ちなみに、「さださん」は1980年にこの歌のアンサーソングとして「関白失脚」という歌も発表しています。

そんじゃ、ね。

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