ルーム・ライト (室内灯)

1973年3月1日に発売された由紀さおりのシングル
作詞:岡本おさみ、作曲:吉田拓郎

この楽曲は吉田拓郎さんが由紀さおりさんに提供した歌なのですが、少しばかり「いわくつき」の歌になってしまいました。理由は、ちょうどこの歌がヒットしていたときに拓郎さんが「婦女暴行容疑で逮捕」されたからです。のちにこの事件は告訴した女性の狂言と判明するのですが、週刊誌等での報道は今の時代と変わらないほどの熱狂ぶりで、その関連で由紀さんはこの歌を歌わなくなりました。

こうした事情があり本来ですとヒットしたはずですが、週刊誌報道によるバッシングなどもあり、あまりヒットせず終わってしました。ですが、名曲であるのはかわりませんので僕はずっと好きでした。拓郎さん自身も自分で歌っていますが、拓郎さんには申し訳ありませんが、由紀さおりさんのほうがこの歌に似合っていると思います。

ちなみに、このコンビは森進一さんでレコード大賞を獲った「襟裳岬」のコンビでもあります。岡本さんは放送作家から作詞家へ転身したよくあるパターンの方だそうです。

♪あなたが運転手に 道を教えはじめたから
♪私の家に近づいてしまった

今考えますと、「なんと生活感のある歌詞よのぉ」といった感じです。タクシーから降りる場面だけで一曲の歌詞を作るのですから、そのセンスのよさに感嘆です。昔「アメリカングラフィティ」という高校生最後の一晩の青春を描いた映画がありましたが、それを彷彿させます。

僕がタクシーで思い出すのは、タクシードライバー時代にキャバクラのおねえちゃんと一緒に乗り込んできた30代後半と思しきサラリーマンのことです。酔っぱらって乗ってきて、行先を告げるといきなり「ブチュブチュ」とねちっこい接吻の嵐だったのですが、バックミラー越しにイチャイチャしている光景は滑稽でもありました。

「ああ、あんなふうにはなりたくないよなぁ」と思わせるような、なんともみっともない情景が続いていました。女性のほうは「仕方なく」つき合っているのが見え見えの対応だったのですが、それでも男性のほうは意に介さずただひたすらブチュブチュを繰り返していました。

目的地と言いましても、女性が降りるところまでだったらしく10分ほどで到着したのですが、女性は笑顔を見せながらも目元は笑っておらず、そのまま「じゃぁ、また来てね」とさっさと行ってしまいました。もしかしたなら、またお店に戻るのかもしれません。
(^o^)

それはともかく、女性が立ち去ったあとの男性の白けた表情がなんともいえず、情けなかったのが強く印象に残っています。男性にしても、一人になったあとどういうふうに振る舞っていいのかわかりかねているようで、かわいそうな気持ちさえ起きました。

由紀さんの「ルームライト」を聞きますと、あのときの男性の情けなさそうな、勝手に想像しますと「お金を払ってしか女性と遊べない」という悲しい表情を思い出します。「金の切れ目は縁の切れ目」の関係が丸出しのお二人でした。

もう40年近く前のことですが、当時から男ってスケベだったんですよねぇ。いえいえ「当時」ではなく、「人が誕生した昔から」でした。

それではまた。

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