世界に一つだけの花

歌:SMAP
作詞作曲:槇原敬之
14枚目のアルバム『SMAP 015/Drink! Smap!』に収録されたのち、2003年3月5日に35枚目のシングルとして発売

作詞作曲をした人が歌うよりもほかの人が歌ったほうが「いい歌」になるというのはよく聞く話ですが、この歌はまさにその代表曲だといえます。そもそもSMAPはアイドルですので自身で作詞作曲するわけではありません。ですので、SMAPが歌う歌はみんなほかの人が作った歌ということになりますが、「ほかの人が歌った方がいい歌」には作った人がソングライターでありながらシンガーでもある、という前提があります。

その前提でいうなら、この歌の前には「スガシカオ」さんが作詞した「夜空ノムコウ」という名曲があります。以前、なにかの記事でスガシカオさんが「SMAP」さんの作詞を手掛けることになった経緯を読んだことがありますが、最初から採用されることが決まっていたわけではなく、コンペに参加する形でのかかわりだったそうです。

僕はたまに「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」というラジオ番組の話を書きますが、先日は作詞家の方のお話を聞くことができました。先ほどのスガさんのように、ほとんどがコンペに参加する形で楽曲が作られていきますので、採用されない場合は「無駄な作業」ということになり、「とても損失が大きい」という愚痴をこぼしていました。

確かに、なにかを作り上げるには相当な時間がかかるわけですが、採用されないときは創作作業に費やした時間が全く無駄ということになります。なにしろ報酬が全く支払われないのですから応募する側にとってはまさに死活問題です。こうした働き方は昨今問題になっているフリーランスの働き方の不利な状況と似ていますが、同じような話としては漫画家を目指す卵の方たちの状況があります。

漫画家の卵の方々は編集者に認められて連載がはじまって初めて報酬・収入が発生することになりますが、それまでは無収入です。ネットでそうした方が自らの状況を報告しているサイトなどがありますが、多くの方は連載を持っている漫画家さんのアシスタントをしながら勉強・修行を兼ねた収入源としているようです。

前にコラム等で書いたことがありますが、僕がコロッケ店を営んでいる頃、常連さんのお客さんで漫画家の卵の方がいました。年の頃25才くらいだったでしょうか。ジャンプの公募で佳作に入り上京してきていた若者でした。佳作に選ばれた作品も見せてもらいましたが、その若者も上京したばかりの頃にアシスタントをしていたこともあったそうです。しかし、お店に買いにきていた当時はアシスタントではなく、ファーストフード店でアルバイトをしながら修行をしていたようでした。

しかし、生活のためにアルバイトをしながらの漫画家の修行では、なかなか連載までたどり着くのはむずかしそうなのは素人でも容易に想像がつきます。一度地元から来ていた彼女さんをお店に連れてきて紹介してくれたこともありましたが、いつしか見かけなくなり、僕もお店を閉めてしまいましたのでそれっきりになってしまいました。

このようにどのような業界でも「好きなことを仕事にする」のは簡単なことではありません。しかし、人生は一度しかないのですから、挑戦するのも悪くはありません。行動経済学が人気だった頃しきりに言われていた格言があります。「挑戦して失敗したことより、挑戦しないで終わったほうが後悔が大きい」というものですが、確かにそのとおりだろうと思います。

挑戦しても全員が成功できるわけではありません。そのときに心に響いてくるのがこれです。

♪そうさ 僕らは
♪世界に一つだけの花

なので

♪NO.1にならなくてもいい
♪もともと特別なONly one

おあとがよろしいようで。

それではまた。

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