ふきのとうが1976年7月1日に3枚目のアルバム『風待茶房』で発表した楽曲
作詞・作曲:山木康世
僕がこのエッセイ、「心に残る歌」を書くようになったきっかけは今回紹介しています「ふきのとう」さんでした。ですので、第一回目は「ふきのとう」さんなのですが、「心に残る歌」としていながら、第一回目だけ「楽曲」ではなく「アーティスト」にしてしまっていました。
「しまっていました」と後悔しているよな口ぶりですが、自分でも不思議なのですが「歌」としながら、どうして「アーティスト」にしたのか…。第二回目からはちゃんと「楽曲」にしているのですが、なんとなく第一回目だけ「アーティスト」のままにしています。
「ふきのとう」」さんの楽曲がきっかけではあるのですが、実は実際にエッセイで取り上げているのは「春雷」の一曲だけです。なぜかと言いますと、第一回目に「ふきのとう」さんとしてしまったので、「楽曲名」を取り上げるのがなんとなくできないでいたからです。ですので「春雷」の一曲だけだったのですが、やはり「ふきのとう」さんへの思い入れはとても強いので、「楽曲名」も書くことにしました。
そうした経緯で今回は「やさしさとして想い出として」なのですが、前に細坪さんの歌声を「世界で一番切ない声」と評したことがありますが、その「切ない声」の魅力を余すことなく発揮しているのが、まさに「やさしさとして想い出として」です。
♪もう あなたは冗談も言わず
♪九月のことに かかりきりみたいで
♪爪の伸びた小指をかみながら
♪こぼれる涙に言い訳していた
自分に責任があるくせに「涙を流す」なんて、なんてイケズな女なんだろ!と文句の一つも言いたくなるじゃあ~りませんか!
だってね、
♪ぼくが一年離れているうちに
♪こんなに かわるなんて
ネッ、自分がほかに好きな人ができたから別れる気持ちになったのに、「涙こぼしながら言い訳なんかするなよ!」。ですよねぇ。
それにしてもこの歌の歌詞、本当に秀逸ですよねぇ。後半の歌詞はそれだけで映像が具体的に浮かんできます。昔、松山千春さんが「関白宣言」を大ヒットさせた「さだまさし」さんの歌を最高の「コミックソング」と揶揄していましたが、僕からしますと「ふきのとう」さんの歌のほうが「コミックソング」にふさわしいと思っています。
細坪さんの歌声を世界で一番「切ない」と書き、この歌はその真骨頂といえるメロディーと歌詞なのですが、作詞作曲は細坪さんではなく山木さんのところがミソですよね。お二人が解散した理由もそこのあたりにあったようです。グループって難しいですよねぇ。
それはともかく、「ふきのとう」の歌詞ほど若くかわいい女の子の気持ちを掬い取っている歌はありません。若い読者の皆さん、初な男心をくすぐる「かわいい女の子の仕草」に騙されてはいけないですよ。細心の注意を払って気をつけましょう。経験者より。
それでは、次回。