時代おくれ

歌:河島英五 CBS・ソニー移籍第1弾として制作
作詞:阿久悠/作曲:森田公一

阿久さんの代表作と言いますと、この歌を挙げる人もいるのではないでしょうか。阿久さんはたくさんのヒット曲を出していますが、意外にこの歌は知られていなさそうで、実はコアなファンがいる、といった感じの歌です。

この歌が出るまでは、河島さんの代表曲と言いますと、間違いなく「酒と泪と男と女」でした。しかし、この歌が出てからは半々くらいに分かれるように思います。それほど、河島さんにピッタリはまっている楽曲です。「酒と泪と…」は河島さんの作詞作曲なのですが、「時代おくれ」は違います。しかし、まるで河島さんが作ったかのように思える歌詞とメロディーです。

「河島さんが作った」ように感じるのは、メロディーもありますが、やはりなんといっても歌詞が河島さん自身を表しているように感じるからです。その歌詞を書いたのは阿久悠さんですが、僕が言うまでもありますが、阿久さん天才です。阿久さんの天才ぶり伝わってきます。

以前読んだ記事で、阿久さんはこの歌を「元ロッテのエース村田兆治投手をモデル」にして作詞した、と書いてありました。確かに村田さんを彷彿させる感じがあります。不器用で寡黙だけれど、心優しき一本筋が通った男といったイメージです。

♪妻には涙を見せないで
♪子供に愚痴をきかせずに

♪目立たぬように はしゃがぬように
♪似合わぬことは無理をせず

♪不器用だけれど しらけずに
♪純粋だけど 野暮じゃなく

♪ねたまぬように あせらぬように
♪飾った世界に流されず

阿久さんの天才ぶりが凝縮された言葉の数々です。昭和の時代の「理想の男性像」と言っても過言ではないような言葉が次から次への連なっています。ですが、こうした男になるのは結構大変です。余程肝が据わっていて、度量が大きく、きれいな心の持ち主でなければこのような男にはなれません。

実は阿久さんがモデルにした村田兆治さんは昨年9月に、飛行場でトラブルを起こし逮捕される事件を起こしています。記事によりますと「羽田空港での搭乗時、金属探知機をめぐるトラブルで、女性検査員の肩を押すなどした疑い」となっていますが、僕からしますと今の時代だからこそ起きた逮捕と思わないでもありません。

もし、昭和の時代だったなら村田さんの行為もこれほど大きな事件となることも、ましてや大きく報じられることもなかったでしょう。村田さんが時代の変化を感じ取っていたなら、検査員への対応も違っていたかもしれません。その意味で言いますとまさに「時代おくれ」が起こさせた事件と言えそうです。

それでは、また。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする