1977年11月にリリース
作詞:世良公則/作曲:世良公則
歌:世良公則&ツイスト(のちに「ツイスト」)
世良さんが出てきた時は衝撃的でした。それまでの芸能界にいなかったタイプのボーカルだったからです。歌も素敵ですが、ルックスも芸能事務所に入っている俳優か、アイドル並みのカッコよさを備えていました。NHKの朝ドラ「舞いあがれ!」に出ていた赤楚衛二さんという俳優さんがいますが、初めて赤楚さんを見たとき「世良さんに似ている」と思いました。
それはともかく、世良さんは「ケンカが強い」とよく言われていたのですが、「気が強い」のは確かなようで、街中で一般の人に「呼び捨てにされる」と近づいて行って「注意をしていた」と何かの記事で読んだことがあります。ケンカが強いのはまんざら嘘でもないようで、拳法を習得していたそうです。歌うときのパフォーマンスはまさに拳法ですが、振付師では考えつかないような動きが魅力でした。そのパフォーマンスは、もちろん、様になっていたからこそ成り立つのですが、それまでの芸能界の若い男性たちとは一味違った感性の持ち主のように思っていました。
例えば、服装にしても芸能人が着るようなものではなく、「ごく普通のものを格好よく着こなす」を信条にしている印象を受けていました。それができるのもスタイルがいいからですが、持って生まれた芸能人の素質を持っていたのかもしれません。
記憶が曖昧なのですが、世良さんは学生時代にバンドを組んでいたのですが、そのバンドはデビュー時には解散したそうで、デビューするときはレコード会社が「バンドメンバーを集めた」と、記事で読んだことがあります。結局、ツイストは数年で解散するのですが、そのような経緯も関係しているのかもしれません。
しかし、世良さん自身は俳優として確固たる地位を確立していますので、芸能面で実力があったのだと思います。世良さんで素晴らしいと思うのは、俳優に転身したあとはバラエティー番組には絶対に出なかったことです。三田村邦彦さんという俳優さんがいるのですが、仲がよかったそうで、そのようなことを話していました。そういうこだわりもまたいいですよね。
この歌は「出だし」にすべての魅力が集まっている、といっても過言ではありません。
♪あんたにあげ~たぁ
これだけで十分です。しゃがれた声であのパフォーマンスをされたら若い女性は一発で参ってしまいます。あのルックスですからモテたと思いますが、実は世良さんはデビュー前からつきあっていた彼女さんと結婚している、と聞いたことがあります。それが本当なら、それも素敵です。でも、歌詞は彼氏に振られた女性の心情です。
♪愛の日々を
♪今さら返せとは 言わないわ
これって、経験ないと出てこない歌詞です。でも、世良さんは男性ですので経験あるはずはないのですが、誰かから聞いたのかしら。でも、昭和の女性の気持ちを言い当てているのではないでしょうか。こんなこと書いたら、今の女性の方々からは怒られそう…。
この歌の歌詞、実は本当に短くて、書いてあることもそれほど多くなくて、それでもこれだけの名曲になっているのですから、世良さんの歌唱力がすごいということに尽きます。
♪今さら返せとは 言わないわ
男にとって、なんと都合のいい歌詞でしょう。
それでは、また。