甲斐バンドの6作目のオリジナル・アルバム『マイ・ジェネレーション』に収録。
1979年にリリース。
作詞・作曲:甲斐よしひろ

なぜか最近この歌が頭に降りてくるのですね。本当になぜでしょう。僕がマスコミに批判的な思いがあるからでしょうか。

♪ある日のことテレビを見てたら
♪どこかの曲のディレクターが

♪ふいに電話してきて言うことにゃ
♪ヒット・チャートの中に
♪あなた方の席もあります

当時のミュージシャンはテレビに出ることをあまり快く思っていない人が多かったのですが、その理由は「自分が作った歌」がランキングづけされることや、テレビで「消費される」ことに嫌悪感を持っていたからだと思います。とは言いつつも、甲斐バンドがブレイクしたきっかけは「ヒーロー」がテレビCMで使われたことです。そのあたりはジレンマだったのではないでしょうか。

当時は「TBSテレビのザ・ベストテン」が大人気だったのですが、なんとか出演をお願いしようとスタッフの方々が必死に努力していたことを司会者の久米さんや黒柳さんたちが語っていました。ちょうどこの頃はサザンオールスターズがデビューしたときでもあるのですが、サザンの桑田さんなんかはそれまでのアーティストとは異なり、いかにしてテレビ映りをよくしようか、と工夫をしていました。70年代後半はアーティストの世代が変わる過渡期だったように思います。

そうした背景がありましたので「ふいに電話してきたことにゃ」となるわけですね。

♪オレを催促する受話器の声は
♪とても陽気でいかしてるのさ

テレビ局の人って「陽気でいかしている」感じがしますよね。話は少し変わりますが、僕がラーメン店をやっていたとき、40歳前くらいの男性が小学低学年の男の子と食べに来たことがあります。そのお父様が、食べ終わってお金を払う際に財布からお金を出すのですが、わざわざ「某テレビ局の社員証」が僕に見えるようにお金を払ったのが印象に残っています。テレビ局に勤めているというのはとても自慢できることですから。陽気でいかしているのも当然です。

それはともかく

♪声を消したテレビの中では
♪どこかの歌手が2分間の
♪魂ってヤツを歌ってる

そうそう、テレビで歌うときって時間を短くされるのが一般的なのですが、アイドルやタレントではないアーティストの方々はそれも嫌っていました。短くされたらその歌で伝えたいことが伝えられなくなるからです。まさに、ザ・アーティストの心意気です

甲斐さんて歌詞を作るとき、この「噂」は体験談ですが、圧倒的に多いのは映画です。しかも、おそらくフランス映画をよく見ているんじゃないかしら。歌詞の中でもそういった言葉が出てきますから。

それでは、また。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする