1980年8月21日発売
作詞・作曲:五輪真弓
歌:五輪真弓(通算18枚目のシングル)
僕が五輪さんを最初に知ったのは、当時月曜の夜に放送されていた『夜のヒットスタジオ』で歌っている姿でした。あの頃、僕のような一視聴者が新しい歌に出会う手段といえば、テレビの音楽番組くらいしかありませんでした。番組内で司会の吉村真理さんが、五輪さんを「流行の先端を行く存在」と紹介していたのをよく覚えています。この曲だったか別の曲だったかは記憶が曖昧ですが、ロングスカート姿で、床に胡坐をかいて熱唱していた姿が印象に残っています。
今回このエッセイを書くにあたって調べてみたところ、「恋人よ」が五輪さんの18枚目のシングルであることに驚きました。それまであまり大きなヒットには恵まれていなかったのでしょうか。その辺りのことは詳しくはわかりませんが、いずれにしても、ヒット曲が出るまでにすでに相当なキャリアを積まれていたのですね。言われてみれば、あの頃からすでに貫禄がありました。
五輪さんのデビューは1972年。ちょうどその年は、荒井由実さん(のちの松任谷由実=ユーミン)がデビューした年でもあります。そしてその3年後には中島みゆきさんが登場しています。思えば、女性シンガーが次々と輝きを放っていた、まさに黄金時代だったようで、いやはや、すごい時代だったように思います。
♪ 愛をささやく歌もない
♪ この別れ話が
♪ 冗談だよと笑ってほしい
この歌詞だけを読むと、一見「別れ話」をテーマにした曲のようにも思えます。
しかしウィキペディアによりますと、この歌は、五輪さんが知人の葬儀に参列した際、奥様が深く悲しんでいる姿を目にして着想を得たものだそうです。そうなりますと、この曲は単なる恋の終わりではなく、どうしようもない運命に引き裂かれる愛を歌ったものだと言えます。自分が悪いのでも、相手が悪いのでもなく、ただ宿命として別れを受け入れるしかなかった、そんな諦観のようなものがにじみます。
それでも、どうしても忘れられないほど愛していた。だからこそ、シンプルな歌詞がいっそう心に迫ってきます。言葉数が少ないからこそ、悲しみが深く、重く響きます。
……と、ここまで書いてふと思ったのですが、五輪さんって、「ごりん」なんですね。気づいていませんでした(笑)。
それでは、また。