五番街のマリーへ

1973年(昭和48年)10月25日発売
作詞:阿久悠/作曲:都倉俊一
歌:ペドロ&カプリシャス(ボーカル:高橋真梨子)による5枚目のシングル

日本にいながら「よくもこんなに素晴らしい歌詞が書けたものだ」と感心せずにはいられません。やはりこれは、天才・阿久悠さんならではの詞の世界と言えるでしょう。
ウィキペディアによりますと、一つ前の楽曲『ジョニーへの伝言』が大ヒットしたとのことで、本作はその続編的な物語として想像することもできそうです。

冒頭で「日本にいながら」と書きましたが、この時代の歌詞には、日本ではない情景や風景を描いた作品が意外と多かったように思います。
たとえば、僕の好きな甲斐よしひろさんの歌詞にも、日本ではなかなか思いつかないような物語が描かれています。以前、甲斐さんの歌詞紹介でも触れたかもしれませんが、当時の作詞家の多くは、映画から着想を得ていたのではないでしょうか。甲斐さんの詞には“フランス映画風”の雰囲気が漂っていますが、阿久さんの詞には“古き良きアメリカ”の空気を感じます。

♪ 五番街へ行ったならば
♪ マリーの家へ行き
♪ どんな暮らししているのか 見てきてほしい

この出だしから、一気にアメリカの街並みへ連れていかれるような感覚になります。
僕はこの歌詞を聴くたびに、昔観た映画『レオン』のあるシーンが思い浮かびます。引っ越しの場面で、上り坂の向こうからレオンとマチルダが並んで歩いてくる――あのシーンが最高でした。『レオン』について語り始めると胸が熱くなり、世の中の不条理について考えずにはいられません。

もう一つ、この曲を聴いて思い出す作品があります。
それは日本映画『幸せの黄色いハンカチ』です。

♪ どんな暮らししているのか 見て来てほしい

この一節が、あの映画のテーマとどこか重なっているように感じられるのです。

格差社会が進み、分断が深まるこの時代。
その“上位”にいる人たちは、マチルダやマリー、レオンのような存在を、どう見ているのでしょうか。

参議院選挙のまっただ中ですが、どうか――
平和で、弱者が生きづらくならない社会を目指す政党に、一票を投じましょう。

それでは、また。

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