1985年4月21日にリリース
作詞・作曲・編曲:高橋研
中村あゆみの3枚目のシングル
昭和生まれの僕としては、この歌の歌詞は「昭和」をビンビンに感じさせる内容と思っています。タイトルだけで「主人公の人となり」がわかります。そして、中村さんの風貌がまたこの歌詞にぴったりです。この歌は大ヒットしたのですが、この歌が若者の心を掴んだのは、なんと言っても中村さんの声量があったからです。パンチの利いた歌声があったからこその「翼の折れたエンジェル」です。
♪Thirteen ふたりは出会い
♪Foreteen 幼い心かたむけて
から「Fifteen」「Sixteen」「Seventeen」「Eighteen」と青春が続いていくのですが、最後が「ため息おぼえた」になっているところが、青春のホロ苦さを感じさせてくれてよいです。若いときって勘違いしていることが多いですよねぇ。
この歌の歌詞の主人公は一見すると女性のように思いますが、
♪もし 俺がヒーローだったら
♪悲しみを 近づけやしないのに…
からわかるように男性です。おそらく歌詞の主人公は、ちょっと不良で周りに敵対する心を持っていて、ちょっとばかり背伸びをしてるツッパリです。でも、本来の性根はやさしいので完全な悪にはなりきれません。作詞家の高橋さんは、そんな若者を想像しながら書いたように思います。
でも、
♪あたしも 翼の折れたエンジェル
♪みんな 翔べないエンジェル
とあるのですが、男性が「あたしも」なんて言うかなぁ…、と疑問に思う部分もあります。それにエンジェルって普通女性ですよね。もしかしたら、彼氏と彼女のかけあい系の歌詞なのかな。う~ん、疑問。
そんなことはさておいて。
青春を過ぎると、知らず知らずのうちに大人になっていきます。僕は、この歌を聴くと思い出す先輩がいます。僕が高校2年生のときに1個上の女の先輩だったのですが、髪がソバージュで上戸彩さんに似た顔立ちをしていました。身長は高くはなかったのですが、とてもかわいく魅力的で、名を「カネサカ」さんといいます。公立校とはいえ、高校生でソバージュ頭だったのですから、まじめな学生とは見られない女子高生でした。
僕は生まれつき喘息気味の体質なのですが、ごくたまに咳がとまらなくなることがあります。ある日の数学の時間にその状態になってしまいました。喘息持ちの方はおわかりでしょうが、咳はとめようとすればするほど余計にひどくなりがちです。僕は自分が苦しいのと、周りに迷惑をかけていることで、その場にいたたまれなくなりました。
僕は先生に「うがいをしに行ってきていいですか?」とお願いをしました。先生も僕があまりに苦しそうな咳をしていましたので、心配そうな表情で快諾してくれました。僕は教室を出ると、急いで水飲み場に向かいました。授業中ですので、廊下にはだれもおらず、静寂な空気が流れていました。
水飲み場に行き、幾度かうがいをすることでどうにか咳も収まっていき、気持ちも落ち着いてきました。大きく深呼吸をして教室に戻ろうと思ったのですが、校内の静けさはとても心地よいものがあります。僕は、もう少し静けさを感じていたくなり、屋上に行くことにしました。
僕のクラスは2階にありましたので、屋上に行くには3年生のクラスがある3階を過ぎる必要があります。一応先生にも許可を得ていますので、問題はないとは思いながらも、授業中に教室の外にいるのは罪悪感があります。できるだけ足音を立てずに3階を過ぎ、屋上に向かう途中の踊り場に差し掛かったところで人影が目に入ってきました。
だれかが踊り場の階段に座って僕のほうを見ていました。僕は軽く会釈をして近づいたのですが、そこに座っていたのはなんとあこがれのカネサカ先輩でした。カネサカ先輩はバスケットボール部に所属しており、僕はバレーボール部でしたので、ときたま体育館ですれ違うことはありました。ですので、僕の名前も知っていたようで、僕の名前を呼んで「どうしたの?」と笑顔で話しかけてきました。
結局、数学の授業が終わる寸前まで僕はカネサカ先輩といろいろなおしゃべりをしたのですが、僕が教室に戻ったときにちょうど授業が終わる鐘がなりました。数学の先生はとてもできた人で「〇〇君が戻ってきましたので、今日の授業は終わりにします」と落ち着いた声で話しました。
もちろん、教室は大爆笑です。
僕の青春の一ページの出来事ですが、よく考えたら、この歌を聴いて思い出しのはカネサカ先輩もそうですが、数学の先生もその一人ということになります。ちなみに、その先生はイガラシ先生といいます。
それでは、また。