僕と彼女と週末と

作詞作曲:浜田省吾
1982年に発表されたアルバム「PROMISED LAND 約束の地」収録曲

 

これまでに書いていますように浜田さんは「純愛」と「不倫」と「社会的メッセージ」の3つのカテゴリーで作品を発表しているのですが、この楽曲は「社会的メッセージ」に入る歌です。

 

1982年の時点で原爆について書いているのが、なんともすごい!と思うのですが、いかに社会に関心を持っていたかがわかる歌詞です。僕はYouTubeで浜田さんがラジオで話している声を聴いたことがあるのですが、浜田さんは武道館を成功させて頂点を極めたあとしばらく「燃え尽き症候群」に陥っていたように感じていました。

 

そうしたこととこの作品がどこかしらリンクしているように思っているのでしょうが、どうでしょう。とここまで書いてきて、「浜田さん」と書きますと、どうしてもダウンタウンの浜ちゃんが頭に浮かんできますので、ここから先は「ハマショー」さんにすることにします。(笑)

 

そのハマショーさんでさらに「すごい!」と思ったのが、2011年の東日本大震災のあとの行動でした。この楽曲は原発の危険性について訴えているのですが、東日本大震災の3か月後にハマショーさんは新聞の一面にこの歌の歌詞を載せたのです。こんな発想だれが思いつくでしょう。

 

おそらくですが、ハマショーさんの自腹ではないでしょうか。そんな感じがします。デビューアルバムの中に入っている「生まれたところを遠く離れて」はどこか十字架を思い起こさせるものがありますが、地球の温暖化が叫ばれ、地球が滅びるかもしれないという危機に際しても、経済活動から離れられない人間を想像させるものがあります。

 

♪誰もが何かを売り渡し
♪生きてゆくさ この世じゃ
♪だけど何も売るものがなかった
♪あの娘が何を売ったか

 

初めてこの歌詞を聴いたときは、鳥肌が立つほど心が揺さぶられました。これほど“社会の矛盾”と“しわ寄せは常に弱者に向かう”ことを歌った歌詞があるでしょうか。そして、もっと具体的に“社会の矛盾”を歌ったのが「僕と彼女と週末と」です。東日本大震災から10年が過ぎて、少しずつ原発の危険性に対する思いが薄れてきているように感じます。

 

放射能の危険がなくなったわけではありません。汚染水の処理方法もまだ確定しているわけではありませんし、農業や漁業の風評被害がなくなったわけでもありません。遠く東日本から離れた地域にいる人たちにとっては遠い過去の問題かもしれませんが、東北とくに福島の方々にとっては震災はまだ続いているのです。

 

そんなことを思い起こさせてくれるこの歌です。

 

それでは、また次回。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする