真島昌利のソロデビュー・シングルであり、近藤真彦の30作目のシングル
作詞・作曲・編曲: 真島昌利
真島盤は1989年10月21日にメルダックから、近藤盤は同年11月10日にCBS/SONY RECORDSから発売
この歌に関しては、以前ブルーハーツさんの「チェインギャング」を紹介したときに少し触れていますが、今回取り上げるにあたり調べたところ、この歌はブルーハーツさんの楽曲ではなく、真島さんのソロデビューの歌でした。
この歌の歌詞を聴いていますと、アメリカの50年代のギャングが幅を利かして時代が浮かんできます。
♪地下の酒場のカルメンと
♪ダークなスーツに着替えて ボルサリーノをイキにきめ
実はこれまで知らなかったのですが、「ボルサリーノ」とはフランスのギャングの映画でした。正確に言いますと「知らなかった」というよりは忘れていたと表現したほうが正しいように思います。なぜなら、学生の頃、名画座でジャン=ポール・ベルモンドとアランドロンの映画を観たような記憶がよみがえってきたからです。
つまりは忘れていたことなのですが、そうした状況でこの歌を聴いた印象は、なんとなくのイメージですが、イタリアの雰囲気を感じていました。ですが、解説によりますと「ボルサリーノ」はフランツとイタリアの合作だそうですので、どちらにしてもアメリカは全く関係のないことでした。僕が勝手にアメリカの50年代と思い込んでいただけのようです。
さらに調べていきますと、歌詞の中にある
♪額縁のウラの金庫のかくしたコルトをとりだす
とあるのですが、ウィキペディアによりますとこのコルトは日活の映画「拳銃(コルト)は俺のパスポート」が基である、とのことでした。僕としましてはやっぱりアメリカとかヨーロッパのギャング映画のほうが夢が膨らむように思います。「日活」をバカにするわけではありませんが、どうしても格落ちの感はぬぐい切れません。
それはさておくとして、こうした歌詞の世界を思いつくことが素晴らしいと思うのですが、真島さんのクリエイティブの能力の高さゆえでしょう。映画を観て、想像力を広げ歌詞の世界を構築していくのも並大抵の才能ではありません。
今回のことで、もしかしたらなら「そうした人は多いのかも」と思ったのですが、僕が好きなバンド「甲斐バンド」の甲斐よしひろさんの歌詞にも「映画から連想した内容」と思しき楽曲があります。例えば「男と女のいる歩道」とか、ずばり「シネマクラブ」ですが、人間が経験できることなんて世界で起きていることのほんのわずかなことですので、映画を基にするのも一つの方法です。
♪誰か彼女に伝えてくれよ
♪ホームのはじでまってるはずさ
♪ちょっと遅れるかもしれないけど
♪必ず行くからそこで待ってろよ
いつも思うことですが、感動する楽曲は一曲の歌詞をはじまりから終わりまで聴いているだけで一つの物語を見たような錯覚に陥ります。しかもその歌詞に素晴らしいメロディーがついているのですから、楽曲を作る人たちは本当に天才です。
それでは、また。