たどりついたらいつも雨ふり

1972年7月5日発売
作詞作曲:吉田拓郎
編曲:星勝
歌:モップス

僕がこの歌を知ったのはモップスが歌っていたのを聴いたからですが、作詞作曲が拓郎さんなのはあとから知りました。ウィキペディアの解説によりますと、ホリプロのプロデューサーの方が「フォークシンガーにロックの歌を作ってもらう」という発想の元、拓郎さんに依頼したそうです。

歌とメロディーが見事にはまっていますが、そう思う一番の理由は拓郎さんが歌っている「たどりついたらいつも雨ふり」では、なんか物足りないと思っていたからです。拓郎さんには申し訳ないのですが、拓郎さんの「たどりついたらいつも雨ふり」はなんかダラ~ンとしたイメージがありました。それに比べモップスの歌はパンチがあり、メリハリがあります。おそらく誰が聴いてもモップスの「たどりついたらいつも雨ふり」だからこその大ヒットと思うはずです。

歌を紹介するとき、いつもは編曲の名前は載せないのですが、今回載せているのはまさに編曲・アレンジの妙を感じずにはいられなかったからです。あのアレンジがあってこそのこの歌の魅力であり、ロックです。このアレンジだったからこそメロディーも生きています。本当に不思議ですよね。僕はいつも思っているのですが、音楽の才能が最も発揮される場面は編曲・アレンジです。アレンジの良し悪しでその歌の魅力も決まると言っても過言ではない、とまで思っています。

僕が学生の頃、サイモンとガーファンクルというアメリカのフォークデュオがいました。そのデュオがブレイクしたきっかけは「サウンド・オブ・サイレンス」という歌ですが、この歌はダスティン・ホフマン主演「卒業」の中でも使われていましたのでご存じの方も多いでしょう。この歌は元々はアルバムの中の一曲に過ぎなかったのですが、あるプロデューサーがアレンジを変えてリリースしたところ、大ヒットしたという経緯があります。僕が学生の頃に読んだ記事に書いてあったのですが、以来、僕はアレンジの重要性を心に留めていました。

そして「たどりついたらいつも雨ふり」の編曲は「星勝」さんという方なのですが、星さんについては以前小椋佳さんを取り上げたときにも書いています。僕が星さんの名前を意識するようになったのは、小椋佳さんという歌手のヒットに出会ったときです。小椋さんは、昭和の時代に銀行員でありながらフォークソングの分野でヒットを連発した方ですが、僕の青春時代と重なる部分があります。

その小椋さんの歌の編曲のほとんどを星さんが担当していましたので、僕が小椋さんに興味を持ったきっかけでもあります。ちなみに、星さんはモップスでギタリスト・ボーカルを担当していました。あと一つちなみに、「たどりついたらいつも雨ふり」を歌っているのは星さんではなく鈴木ヒロミツさんという方です。

拓郎さんの歌よりもモップスの楽曲のほうが魅力的と書いてしまいますと拓郎さんに申し訳ありませんので、挽回のために書きます。中島みゆきさんが歌った「ファイト!」よりも拓郎さんが歌った「ファイト!」のほうが何倍も素敵です。「永遠の嘘をついてくれ」も中島さんよりも拓郎さんが歌ったほうが断然に魅力です。

拓郎さんはヒットする歌を作ることに長けている部分もありますが、基本的にはメッセージ性の強い歌のほうが好きなのではないでしょうか。

♪やっとこれで俺らの旅も
♪終わったのかと思ったら
♪いつもの事ではあるけれど
♪ああ、ここもやっぱりどしゃ降りさ

「相田みつを」さんではありませんが、生きている限り「なやみはつきねえんだなぁ」という歌のように思います。

それでは、また。

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