LOVE 

 T-BOLAN:1994年5月11日発売
作詞:森友嵐士
作曲:森友嵐士

バラード調の歌が好きなのですが、例えばダウンタウンブギウギバンドの「涙のシークレットラブ」とかサザンオールスターズの「いとしのエリー」などですが、この「LOVE 」もほかのバラードに負けないくらい心に染み入る楽曲です。

 

実は、バラード調の歌に多いのですが、この歌も歌詞はとても短いのです。しかも、同じ言葉が続くのですが、それを補ってあまりあるバラードのメロディーがこの歌を引き立たせています。

 

そして、この歌を魅力的にしている一番は、なんといってもボーカル森友嵐士さんのあまったるくハスキーな声なのです。この声なくしてこのバラードは成り立たないでしょう。

 

実は、個人的にはバンドのボーカルの歌い方を大転換させた第一人者がいると思っているのですが、それは伝説のバンドBOOWYのボーカル氷室京介さんです。氷室さんが登場する前と後でバンドのボーカルの歌い方がまるっきし変わっています。批判を恐れずに言うなら、ほとんどのボーカルが氷室さんの歌い方を真似ています。

 

森友さんもまさに氷室さんのコピーのような歌声、歌い方なのですが、実は声量に関しては森友さんのほうが上なのではないか、と思っています。つまり、歌い方は氷室さんに似ているのですが、出来上がった歌は森友さん自身の歌声になっているのです。これが森友さんの一番の魅力です。

 

今から10年以上前のことですが、Youtubeで森友さんに放送作家でもあり脚本家でもある小山薫堂さんが、森友さんにドッキリをしかけるという動画を見たことがあります。どういうドッキリかと言いますと森友さんを励ます目的のドッキリなのですが、森友さんはバンドとして絶頂期の頃に原因不明の発声障害を患い活動を休止していました。

 

のちに心因性発声障害と判明するのですが、少しずつ改善の方向に向かっているときに森友さんと親しかった小山さんが森友さんが自然に歌えるような状況を作り出して森友さんを励ます内容でした。最後は、ドッキリに気づいた森友さんが涙したのですが、そうしたエピソードを見ただけに、余計にこの歌を好きになりました。

 

森友さんは心因性で歌えなくなったのですが、偉いと思ったのは奥様です。バンド活動ができないということは、つまり収入が途絶えることを意味しますが、それでも支え続けたのですから妻の鑑です。

 

1999年にバンドを解散し、2012年に再活動するのですが、その間ずっと奥様が支えたことになります。奥様には尊敬の念しか浮かびません。バンドの世界と言いますと、華やかなイメージがありますが、全員が全員成功するわけではありません。森友さんのように才能がありながらも、病気などで活動中止を余儀なくされるケースもあります。これは一般の社会人も同じですが、夫婦が結婚するときに

「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」

と宣誓しますが、この言葉の重みを考えずにはいられません。

 

この歌を聴きますと、森友さんのエピソードが思い浮かんでいます。

 

それではまた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする