「涙のシークレットラブ」

ダウン・タウン・ブギウギ・バンド(宇崎竜童)
1976年

 

この歌はなんと言っても、出だしが秀逸です。静寂の中に鳴り響くギターのストローク音からはじまり、そこにくわわるサックス音、そしてピアノのアルペジオ、この3つの合体がなんとも心地よいのです。

音楽に素人の僕ですので、この表現が合っているのか自信がありませんが、まずギターで気を惹かれ、サックスで魂が揺さぶられ、ピアノで心を鷲掴みにされます。思い起こせば大学1年生の青春真っただ中の僕が恋に憧れた季節でもありました。

失恋の歌なのですが、この歌を聴いて僕が思い浮かんだのは「桃井かおり」さんでした。

♪通いなれた 部屋の隅で
♪灯りもつけずに 壁にもたれて

とか

♪鍵をあけたドアの前で
♪灯りもつけずに 頬杖ついて

こうした描写にピッタリ当てはまるのは「桃井かおり」さんしかいませんでした。あのけだるそうで、ちょっと鼻にかかった話し声で、おかっぱ頭の桃井さんでした。シークレットというくらいですから、公にできない恋なのは想像できます。今で言いますと、「不倫」でしょうか。この歌は今から40年以上前の歌ですが、そんな昔から「不倫」が世の中に存在していたことがわかります。

そういえば「金曜日の妻たちへ」通称「金妻」という言葉が流行ったのは、この数年後です。結婚して幸せなはずの妻たちが夫以外の男性に恋愛感情を持ってしまうドラマでした。今、朝ドラ「おちよさん」でも不倫が佳境を迎えていますが、人間が生きている限り、世の中から「不倫」がなくなることはないのでしょう。

冒頭にも書きましたが、「ダウンタウンブギウギバンド」は宇崎竜童さんがリーダーのバンドです。これまでにも幾度か書いていますが、僕はバラード調の歌が大好きです。宇崎さんはそのバラード調の歌をたくさん作っています。そして、ご存じの方も多いでしょうが、宇崎さんの奥さんは作詞家の阿木燿子さんです。

宇崎・阿木コンビは伝説のアイドル山口百恵さんの歌をたくさん作ったことで有名ですが、百恵さんが宇崎さんを指名した理由は、この「涙のシークレットラブ」を気に入ったからだそうです。そういう記事を読んだことがありましたので、僕はずっと「涙のシークレットラブ」の作詞も阿木さんだと思っていました。ところが、調べてみますと宇崎さんの作詞作曲となっていました。

前から書いていますように、僕が大好きな歌は大ヒットしないというジンクスがあるのですが、この歌にもそのジンクスが当てはまります。ダウンタウンのバラード調の歌で大ヒットした曲といえば「身も心も」でしょうか。この歌はなにかのCMでも使われたのですが、しっとりとした名曲です。でも、僕的には「涙のシークレットラブ」のほうが何倍もいいと思っています。

ついでに紹介しますと、大ヒットしませんでしたが、僕の中でのバラードの名曲として、やはり宇崎さん作詞作曲の「恋のかけら」という歌があります。この歌は、サビの部分に行きますと必ず右の手のひらを握り締め、その拳を肘を中心にして数回上下に動かしたくなるような名曲です。

それでは、また。

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