旅愁

1974年8月1日に発売された西崎みどりのシングル
作詞:片桐和子/作曲:平尾昌晃/編曲:竜崎孝路

この歌は「ル・ルー ルルルルルルー、ル・ルー ルルルルルルー」という出だしがとても魅力的なのですが、この前奏を聞くだけで藤田まことさん演ずる中村主水の顔が浮かびます。中村主水は時代劇ドラマ「必殺仕置人」の主人公です。

西崎さんの

♪あなたをさがして

というという歌詞ではじまるのですが、この歌詞が西崎さんの歌声に本当に合うのです。僕の考えでは、この出だしは西崎さん以外の声では絶対に魅力的にならなかった、と思っています。この歌は平尾昌晃さんの作曲なのですが、西崎さんが平尾さんの秘蔵子だったというのは今回コラムを書くにあたり初めて知りました。どうりではまっているはずです。

この歌はメロディーといい歌詞と言い完璧だと思っているのですが、強いて難点を上げるなら歌詞が短いことです。3番があったほうが絶対にいい歌になったはずです。もしかしたならドラマの主題歌ということで短めに作られたのかもしれませんが、真偽はわかりません。

「必殺仕置人」は時代劇ドラマで記憶に残る名ドラマですが、僕が高校生だった頃のテレビドラマです。もうかれこれ50年も前…、と自分で書きながら月日の過ぎる早さに驚いています。このドラマ、本当に面白かったんですよね。勧善懲悪の典型のようなドラマなのですが、全くマンネリ感を感じることもなく毎回楽しみにしていました。

どれだけ魅力的だったかを示すこととして、出演者を若返らせて同シリーズが製作されています。そのシリーズは僕は見ていませんでしたが、おそらくその当時の視聴者も満足していたのではないでしょうか。

最近はドラマの質と視聴率がリンクしない傾向がありますが、その背景にはメディアの多様性があるように思います。このドラマが製作されていた当時は大衆が見るものといいますとテレビしかなかったのですから、視聴者が見たい番組に視聴率が自然に集まるシステムになっていました。

昨年は「Silece」という耳の不自由な青年と女性の恋愛ドラマが注目を集めましたが、視聴率はそれほどでもなかったという現実があります。このドラマが注目を集めたのは、あとから見られるネットの番組の再生回数が更新記録を出していたからです。本当に時代というのは変化するものですが、間違いなくこれは進歩です。

ラジオでも「radiko」というあとから聴くことができるアプリがあるのですが、電波というのは一過性という難点がありますが、それを補う素晴らしい進歩です。実は僕は「radiko」は利用する機会が多かったのですが、テレビの「Tver」は利用したことがほとんどありませんでした。「Silece」の盛り上がりで知ったというのが実情です。

それはともかく、今回書くにあたり年を召してからの西崎さんが歌っている映像をネットで見ましたが、正直なところかつての魅力的な声を聴くことはできませんでした。西崎さんに限らないのですが、若い頃に出ていた高音がきれいに出ない姿はとても悲しい気持ちにさせられます。歌がうまい人ほどその落差を感じさせてしまうので残念でなりません。

それでは、また。

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