飛べない鳥

発売日:2000年10月18日
作詞作曲:岩沢厚治
歌:ゆず

僕が「ゆず」を知ったのは娘がファンだったことがきっかけです。娘からいろいろな歌を教えてもらったのですが、そんな中で一番好きになったのがこの楽曲でした。実は、僕は岩沢さん(以下:ガンちゃん)を「歌唱の天才」と思っているのですが、あの声量といい、高音のハリといい、そんじょそこらの歌を歌う人ではかなわないのではないでしょうか。

しかも、ガンちゃんの素晴らしいところはあれだけの歌声を持っていながら自分の声質に無頓着なところです。なにしろ、今のこの時代に「タバコは吸う」は、「お酒は飲む」は、で自分の声を大切にしている雰囲気が全くありません。そこも魅力です。そういう生き様が昭和のフォークを彷彿とさせます。

「生き様」などと書いてしまいますと、豪快でボス的な存在を連想させますが、実は全く正反対の性格です。決して「前へ前へ」とでしゃばるタイプではなく、静かにうしろに控えていて、「声をかけられたら前に出る」そんな性格の持ち主です。二人の肩書にそういった関係性が表れていて、リーダーはが北川悠仁さん(以下:悠仁)でガンちゃんはサブリーダーなのです。そういったことに全く関心がないところもガンちゃんの魅力です。

そして、ガンちゃんのそういった性格がこの二人が仲良く「ゆず」を続けられている理由だと思っています。この二人について、僕には忘れられない番組があります。いつ頃なのか全く思い出せないのですが、二人に溝ができつつあった時期のようでした。その二人の関係をドキュメントにした番組だったのですが、深夜に放映されていました。

僕の知っているいろいろな情報を角合わせて推測しますと、悠仁さんはドラマに出演したこともあるのですが、その頃のように思います。そのドキュメント番組では二人に別々にインタビューをする場面もあったのですが、どこかすれ違っている印象を受けました。

そうした不安定な関係を乗り越えられたのは、それこそガンちゃんの「マイペース」ぶりと「サブリーダー」を自認する性格による部分が大きいと思っています。そうでなければ、あのときに二人は解散していたでしょう。

この「心に残っている歌」のコーナーで最初に紹介したのは、昭和時代のフォークデュオ「ふきのとう」さんでした。この「ふきのとう」さんは「ゆず」とは違い、ある年数が過ぎたころに生まれた二人の心の隙間を埋めることができずに解散に至ってしまいました。

「バンドを続けるのは夫婦よりも難しい」と音楽評論家の方が話していましたが、複数人で音楽活動をする場合はやはり皆さん、どこかで溝・隙間が生まれてしまいます。そうした例を見ているだけにこの二人「ゆず」が今もって仲良く活動を続けているのは本当にうれしいことです。

僕はデビュー曲の「夏色」を最初に知ったのですが、この「飛べない鳥」はずっとあとになって知りました。その頃の僕のイメージではシングル曲は全部悠仁さんが作り、ガンちゃんは「アルバム」で作るのだと思っていました。ところが、今回調べていく中でこの「飛べない鳥」がシングルで「1位」を取っているのを知りとても驚きました。

ずっと「僕だけが好きな歌」と思っていたのですが、1位を取ったということは僕以外の人もこの歌に魅力を感じていたことになります。それがなによりうれしいことです。なぜなら、僕が大好きな歌はほかの人には魅力が伝わらないことが多いからです。

♪飛び方を忘れた鳥たちの歌声を
♪聞いておくれ

♪ほらごらんよ僕らなんてちっぽけなもんさ
♪君からもらった
♪優しさの言葉を持ってまた歩き出す

歌詞も素晴らしいですが、メロディーのスケールの大きさを感じずにはいられません。僕はこの歌のサビの部分のガンちゃんの歌声を聴きますと、自然と両手を広げ、左足を一歩前に出し、首を上に30度掲げ、空に飛び立つ鳥のポーズにならないではいられないのです。両手をパタパタと上下に動かしますと、本当に飛んで行ってしまうのではないか、と思うほど、スケールの大きな歌です。

ガンちゃんは天才です!

それでは、また。

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