私鉄沿線

1975年1月に野口五郎がリリースした15枚目のシングル。
作詞:山上路夫 作曲:佐藤寛(野口五郎の実兄)

この歌は野口五郎さんが歌ったヒット曲ですが、実はこの歌にしようか、この一つ前のヒット曲である「甘い生活」にしようか、迷った末の今作でした。調べてみますと、売上げ的には「甘い生活」のほうが売れていたそうです。しかし、出だしの

♪改札口で君のこと
♪いつも待ったものでした

の歌詞が気に入りこの歌に決めた次第です。結婚前、僕は郊外のしなびた改札口の駅から10分ほど歩いたアパートで独り暮らしをしていました。40年以上前のことですので、今とはだいぶ改札口の様相も変わっており、当時は余程の主要な駅でない限り、ほとんどの駅の改札口は「しなびて」いたように記憶しています。時代の移り変わりを一番感じるのは「改札口」ではないでしょうか。

それはともかく、この時代の作詞家と言いますと、阿久悠さんとか松本隆さんなどが有名です。演歌の世界では星野哲郎さんとか石坂まさをさんなどが思い浮かびます。作曲家も有名な作曲家がたくさんいましたが、すでに筒美京平さんもヒットを飛ばす作曲家として名をはせていました。その筒美さんが野口五郎さんに「年間3曲を提供する契約をした」と当時の週刊誌記事で読んだ記憶がありました。ですので、この歌もてっきり筒美さんの作曲だと思っていました。

ですが、作詞は山上さんですし、作曲も筒美さんではなく佐藤寛さんとなっており、とても驚きました。冒頭にも書きましたように、作曲の佐藤さんは野口さんの実兄だそうです。歌の感じが前作の「甘い生活」と似ていますので、そうしたこともあいまって僕に筒美さんの作曲と思わせていました。

♪伝言板に君のこと
♪僕は書いて帰ります
♪想い出たずねもしかして
♪君がこの街に来るようで

気の強い女性からしますと「女々しい男」となるのでしょが、僕のような心優しい男からしますと、それだけその女性が好きだったことになります。思いが強い純真な男性と言えなくもありません。今のストーカーのように粘着的にあとを追うのではなく、相手からなにかしら知らせが届くことを待っているのです。これを純真と言わずなんといいましょう。

最後の歌詞。

♪この街を越せないまま
♪君の帰りを待ってます

この歌詞のように、ずっと待ったまま年を重ねてしまいますと、寂しい老後を送ることになります。どこかのタイミングでこの男性に合うような素敵な女性との出会いを訪れることを願ってやみません。

それでは、また。

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