山木康世と細坪基佳によるフォークデュオ
ファーストシングル「白い冬」(1974年9月21日)
「ふきのとう」は歌の題名ではなく、アーティストの名前です。今から40年以上前の二人組ですが、当時は「アーティスト」などという洒落た呼び方はしておらず、フォークデュオなどと言っていました。
その「ふきのとう」は山木康世さんと細坪基佳さんという方で組んでいたのですが、実は僕は、細坪さんを「世界で一番せつない声」の持ち主と思っています。僕が「ふきのとう」を知った経緯はなぜかあまり覚えていないのですが、当時「ふきのとう」のライバルとして「オフコース」がいました。
今の若い方でも「オフコース」はご存じではないでしょうか。あの6人組のグループです。「オフコース」もデビュー時は「ふきのとう」と同じ二人組のフォークデュオでした。その後「オフコース」は6人組になり、ヒット曲を連発し、メジャーになっていきましたのでご存じの方も多いはずです。
元々、デビュー時の両グループはライバル関係にありました。「オフコース」の小田さんの声も細坪さんに負けないくらい魅力的できれいな声だったことも関係していたと思います。ですが、両グループはその後の展開で大きく差がついてしまいました。結局、メジャーになりきれなかった「ふきのとう」ですが、それでも僕は「ふきのとう」のほうが好きでした。
しかし、本当に申し訳ないのですが、僕が「好き」になる歌や歌っている人は「絶対に大ヒットしない」というジンクスがあります。そこそこはヒットするのですが、大ヒットには絶対にならないのです。そのジンクスが当てはまった「ふきのとう」でした。
しかし、繰り返しますが、「ふきのとう」の細坪さんの歌声は世界で一番「せつない声」なのです。「ふきのとう」には世間的評価ではそこそこヒット曲(僕の中では名曲であり大ヒット曲ですが…)がたくさんあるのですが、その中でも「初恋」とか「やさしさとして思い出として」は名作といえる作品です。「せつなさ満載」どころか「せつなさ」があふれ出ていると言っても過言ではありません。
YouTubeで「ふきのとう 初恋」と検索しますと、二人が並んだレコードジャケット画像が映し出されているチャンネルのほかに、ドラマ「北の国から」の一場面が映っているチャンネルが出てきます。そこには主人公の「純」と「結」が映っているのですが、その映像と「ふきのとう」の「初恋」が見事にはまっています。
「ふきのとう」の歌には失恋の歌が多いのですが、先ほど紹介しました「初恋」も「やさしさとして思い出として」も失恋の歌です。そしてどちらにも共通しているのは「悪いのが彼女のほう」なことです。もう少し具体的に説明しますと、「彼女のほうが彼氏を裏切っている」のです。こんなひどい女がいるでしょうか。それなのに潔く忘れようとしている彼氏の気持ちがせつなくて仕方ありません。
一番せつなさを感じる歌詞を「やさしさとして思い出として」より紹介します。
♪ 爪の伸びた小指をかみながら
♪ こぼれる涙に言い訳していた
♪ 知らないこととはいえ 短すぎた
♪ ぼくが一年離れているうちに
♪ あなたが あなただけが
♪ こんなに 変わるなんて
ねぇ、ひどい女でしょ! 自分がほかの男を勝手に好きになっておきながら「涙をこぼしながら 言い訳する」なんてズルいにもほどがあるっていうもんです! オイラはこんな女は許さないぞ!
以上、現場からmsatoakiでした。
また、次回。