タクシードライバー

1979年3月21日に発表された中島みゆきの5作目のオリジナルアルバム『親愛なる者へ』に入っている曲です。
作詞作曲:中島みゆき

発表は1979年ですが、僕が知ったのはずっとあとのことで全く憶えていないのですが、2010年あたりでしょうか。いつもと同じで、youtubeでおすすめされて知ったのだと思います。前に同じ中島さんの「ホームにて」を紹介しましたが、それよりもかなり前のような気がします。

今回この記事を書くにあたりこれまでの記事を調べていたところ、「朝日のあたる家」という楽曲を数週間しか開いてない時期に続けて書いていました。できるだけ内容は被らないように注意を払っていますが、年のせいか、失念していたようで反省しています。

さて「タクシードライバー」ですが、サビの部分の歌詞に

♪タクシードライバー 苦労人とみえて

とあるのですが、当時は「タクシードライバー=苦労人」というイメージが一般の人にはあったようです。僕がタクシードライバーをやっていたのはその少しあとですが、確かにそういうイメージはあったかもしれません。当時の平均年齢は45才だったと記憶していますが、体力的にはキツクとも頑張ればある程度の収入は稼げると思われていました。しかし、いつの時代も同じだと思いますが、「稼げる人」は一部の人でそれ以外の人は普通の会社員より少しばかりましといった程度でした。

収入は歩合制ですので、売上げが収入の多寡に直接つながりますので、自然に「稼げる人」は一部になってきます。ですが、これが大手とそれ以外ではかなり様相が変わってきまして、大手の場合は大手の固定客というのがいます。ですので、同じ「歩合制」でも基本給に差がある、ということがあります。つまり、大手の場合は中堅会社よりも稼働率が高くなるのですが、その分接客などいろいろと厳しい面もあります。

本屋さんに行きますと、たまに「タクシーで高収入」というのような本を見かけることがありますが、常識的に考えると自ずと限界が見えてくるのがわかります。歩合給は会社により割合が違いますが、まぁ「50%」くらいです。そして、タクシーは「24時間働いて24時間休む」のが基本的なシフトですが、そうなりますと1ッカ月の出勤は公休日を考えますと12日~13日となります。

仮に12日とすると、1日の収入を3万円として36万円です。3万円の収入を得るには「割合が50%」ですので6万円の売上げが必要になります。先ほど書きましたが、タクシーの1日の勤務時間は24時間ですが、食事や休憩をとりますので実質的な労働時間は18時間くらいでしょうか。そうなりますと「6万円÷18時間」で1時間に「3,333円」の売上げが必要ということになります。しかし、常にお客様を乗せていられるはずもありませんので、「1時間に3,333円」がかなり難しいことがわかっていただけると思います。

たまに、「近場までの乗車の時タクシードライバーに不愉快な思いをさせられた」という話を聞きますが、1時間客待ちをしていて、やっと乗せたお客様の料金が1,000円もいかなかったときのショックというか怒りが沸々と沸き上がってくる気持ちがおわかりになると思います。もちろん、お客様のほうからしましたら関係のない話ですので、不愉快な態度を示すほうが間違っていますが…。

僕がタクシードライバーになって驚いたのは、地方からの出稼ぎで半年単位で就業している人がいることでした。僕などは東京に住んでいながら地理に不安があったのですが、地方からの出稼ぎでタクシードライバーをやるとは、かなりの度胸ですよね。中島さんのタクシードライバーを聴きますと、当時のことが思い出されます。

昨日、落語家の三遊亭円楽師匠がお亡くなりになり、先ほど元プロレスラーのアントニオ猪木さんの訃報が報じられました。もちろんどちらの方もテレビなどでしか存じていませんが、活躍している頃を知っているだけに昭和が終わっていくなぁと感じている今日この頃です。おそらく、どちらも苦労人だったはずですよねぇ。

それでは、また。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする